最近は政府の予算削減のために「仕分け」が行なわれている様子が中継されています。
10億の補助金を配るのに従業員8人の法人が5億の経費をかけているとかいわれて、監督官庁は雑多で定型的な作業なので法人に任せるのが適当とか受け答えしていたり、どこまでがネタかよく分からないですね。
そうはいっても独自に事業を行なっている法人もあるだろうし、どんな仕事しているのかなというわけで今回は「財団法人ソフトウェア情報センター」の平成20年度 調査研究報告書: ソフトウェアの適正取引に関する調査研究報告書 を読んでみました。
確かGoogleで「IT, 運用 ガイドライン」ぐらいのキーワードで探した中に含まれていたと思うのですが、いろいろおもしろかったです。
調査報告書なのに対象読者がいまいち不明
まとめた方々が法律家のようで、想定している読者が経営者なのかSIerのようなシステムを売るベンダなのか不明です。
なにか契約時に注意するべきチェックリストなどといった便利なものはなく、 雰囲気は大学3年生ぐらいが夏休みにまとめたレポートといったところでしょうか。
調査と報告はされていますが、とりたてて注目するべき研究成果はないようです。 まぁこの手の文書は発行する事が目的で注目される事を想定していないでしょうから、 それだけに読むとツッコみどころが満載です。
結論を知らないで読むとがっかりしそう
事実が羅列されていますが、それを踏まえて”ベンダ or ユーザは〜するべき”といった事は、ほとんど書かれていません。少しだけ”免責事項に入れておくと良い”といった記述がありますが、それは責任を回避する事しかできないので、より良いものを作るという根本的な問題解決にはなっていません。
後半にまとめられている結論は「ベンダの説明不足とユーザの勉強不足」という事になっています。それをどうすれば良いかは書かれていないと。
ちょっと編集してチェックリスト的なものにすれば実用的なのですけどね。 まぁ読者の設定もよく分からないし、ベンダが問題を回避するためだけの資料に使われそうです。
技術者が書いたものではないためか、より良いものをいかに作るのか、という話しではないです。
保守サポートは何年間提供するべきか
そもそも保守サポートを提供するべき年数についても、”いろいろ考えて合理的に決めてね”といった事が書かれているだけで、参考にするべきサンプルも事例も紹介されていなかったり、スルー力が大いに鍛えられる構成になっています。
そもそもこの前段は保守部品(HW)を提供しなかった業者に対する判例を紹介していて、後段のソフトウェアの保守性とは整合性が取れていないと思います。
たぶん読んでおいた方がよいページ
まぁ、この報告書は啓蒙以上の効果はなさそうですが、ちょっとgoogleで検索してみるとソフトウェアの契約に関連するトラブルとしては次のような内容をおさえておくのが良いと思います。
発注者側が不利益を被らないために何をするべきか
ソフトウェアほど幅のある物もないわけで、発注する側はどういった効率改善を期待するのか、 どう使うのか明確にイメージした上で発注する必要があります。それが難しいんですけどね。
コンピュータに詳しくない発注者側が面倒になって「とにかく作ってくれ」みたいな流れになると、最終的には全員が泣くことになります。 面倒でも理解できるまでは議論する必要もありますし、業界の常識をベンダに説明する必要もあります。
残念ながらシステム開発についてはベンダ側の実力によって、同じ人手をかけても出来上がってくるものには、とても使えるものから、ギリギリ使えないものまで、かなりの幅があります。
また残念ながらベンダは人手をかけずに最低限の使い勝手で納入する事ができれば利益を最大にできるインセンティブを持つので、信用できないと思えば発注しない事も大切でしょう。 まともなベンダはその事を知っていて顧客の信頼に答える事は何よりも大切だと理解しているはずです。
まともなシステム開発をしたいなら、顧客のパフォーマンスが最大限になるような業務フローの変更といった提案込みで話しをするべきだとも言えます。
発注側は自社できないから外注するのでしょうけれど、少なくとも自社のビジネスとシステムに詳しい人物を確保してコーディネータとして活躍してもらう事がこれからは増えてくるのだと思います。
発注する側はアウトソーシングと思っているかもしれませんが、 勘違いして自社の業務を理解している技術者が不在だとコーディネータになるべき人材がなくて悲惨な事になるでしょうね。
何が必要かって難しいですけれど、 ベンダは仕事をしない事で利益が最大になるインセンティブを持っている事を理解して、 発注者側が求めるものをしっかりイメージして、それを要件として文書できっちり出す事が重要だと理解する事でしょうね。
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