親しくしている人のノートPCが壊れてしまったので、手元にあったThinkPad X61に Windows XP Professional + MS Office 2010を入れて貸しているのですが、 その後の調子を聞いた時にOffice 2010のリボンインタフェースが使いずらいと言っていました。
職場でもWindows XPとWindows7が入り乱れている環境が増えてきているのではないでしょうか。
リボンインタフェースについては、否定的な意見を良く聞きます。 個人的には気にいっていますが、開発者が「昔のあれは良かった、今のこれはだめだ」、そんな事を言うのは自由です。 ただ自分は新しい状況に積極的に対応していないのに、 「あの人は試しもしないで質問ばかりしてくる。いつまでたってもパソコンが使えるようにならない」そんな事をいうのは、人に迷惑はかけていないというのかもしれませんが、それでも、矛盾しているのではないでしょうか。
これを機会に、開発者ではない一般のユーザーがOSの変化やIE6からIE9への移行といった軽微な変化にも戸惑ってしまう理由を考えてみると良いのではないかなと思いました。
非難するのは簡単
パソコンを使いこなせない人を指差して、「学習意欲が低いとか」、「試しもしないで質問ばかりする」、そういう事をいう人をたまに出会います。
確かにパソコンがうまく使えない人は、自分の時間を割いて必要とされるスキルを身に付けようという意欲には乏しい事が多いとは思います。
しかし、そういう能力も意欲も高くない人をさらに落し入れるのが、ちょっとしたUIや使い勝手の悪さという点は、自分の経験からも答えが出せる事だと思います。
自分の経験から、解決策を考えてみる
そもそも意欲の低い人に対する対応方法はありません。適切なインセンティブと評価を与える以外にできる事はほとんどありません。
覚えておいて欲しいのは、賞罰は必要ではなく、評価が必要なのだという点です。
工場のライン管理では、チームとメンバーを書いた一覧表を休憩室などに張り出しておき、その週や月毎の一番良い評価を得たチームにシールを張っていく、そんな事で大きな改善効果が得られたという経験談を聞いたことがあります。
故事にもあるように、生きるために水が必要な馬を、水場に連れていく事はできますが、強制的に水を飲ませる事は、まずできません。 そもそも無理に何かをさせるという行為には恒久的な効果は期待できません。
それでも、同じ質問は2回まで、メモを取る、そういったルールを設ける事はとても重要です。 それでうまく出来なければ対応を考えればいいし、大切な事はより上位のリーダーが全体のルールを決定し、全体に周知するという事です。
仕事上では失敗が許されないため、自宅でシステムファイルを消してしまった開発者は多くを学べますが、仕事ではそんな行為をした日には罰を与えられるだけで、同じ行為でも評価・効果はまったく違ってきます。
失敗できる環境、試せる環境、そういう環境を準備して、「あとは個々の意欲次第」といえる環境を与えられているか考えるべきでしょう。
非難するのは間違い
人間の行動を分析する時には、虚栄心よりも、恐怖に基づいて説明するとうまくいくケースが多くあると感じています。
仕事で失敗をする事はできません。 その現実は、人の意欲を低め、積極的な経験を積む機会を奪っているという事はできないでしょうか。
失敗しても大丈夫な環境を作り、提供する事は、教育のためにはとても重要です。
それでも、何も自発的に行動しないのであれば、その点を指摘するべきです。
そもそもパソコンの電源ボタンがどこにあるか分からない人に、失敗しても良い環境を作る事などできないのです。 ネットカフェを実験環境にして、OSのシステムフォルダを消してみる、そんな休日の過し方がまともだと私は考えています。